2010年8月22日日曜日

Yahoo! JAPANとGoogleの提携

Yahoo! JAPANの検索エンジンをGoogleが提供するというニュース
いまさらだが、ちょっと自分なりの解釈も書いておく

そもそも日本のPCの検索市場では
Yahoo! JAPAN:Google=60:40ぐらいだったと思う、他の検索エンジン(Bing)はと言えば
最近はその動きが目立つようになってきたものの
シェアはほとんど無視できる程度だし、
日本語での検索精度自体は極めて低いと言わざるを得ない
(嘘だと思うなら一度試してみるといい)

米Yahoo!が検索エンジン(YST)の開発をやめる場合、
Yahoo! JAPANの打つ手としてはGoogleを検索エンジンとして採用する以外ない
なぜなら他にまともな検索エンジンがないのだから
(Yahoo! JAPANだけで自社開発するのは全く割にあわないと思われる
日本市場だけじゃ規模の経済も働かないし)

とはいえ、このやり方にはそれ以上の意図を感じてならない

上述の通りYahoo! JAPAN対Googleの検索シェアは現状、6:4と言われているが、
徐々にGoogleがそのシェアを伸ばしているのは確かだし、
このままいけばシェアの逆転もあり得ない事ではなかったと思う


しかし、検索シェアだけがビジネスじゃない
Yahoo! JAPANは検索以外のサービスで利益が出るビジネスモデルになっている
2010年の第一四半期の実績でいえば、
売上高、営業利益ともにおよそ半分くらいは検索以外から稼いでいる
(Yahoo! JAPAN IR関連情報 2010年度第一四半期)

そう考えたときにYahoo! JAPANにとっての最大のリスクは何か?
全てではないにしろ検索を中心にユーザーを集めてきたことが確かだとすれば、
ユーザーがGoogleをポータルサイトとして利用し始める事であろう

検索シェアの奪い合いとポータル市場の戦いは決してイコールではない

無茶苦茶を言ってしまえば、
検索シェアをGoogleに奪われようが、
ユーザーがYahoo! JAPANをポータルとして利用してくれればそれでいいのだ

Yahoo! JAPANからすると、

検索エンジンの精度はGoogleと一緒ですよ
=だってGoogleの検索エンジン使ってるんだもん
=だからYahoo! JAPANをポータルとして使ってくださいね

という事がユーザーにアピールできれば
ユーザーは今後もYahoo! JAPANをポータルとして使い続けるだろうし、
Yahoo! JAPANのサービスも使われ続けるだろう
また、検索広告自体はYahoo! JAPANのものとしてそのまま残るんだから
広告フィーのシェアが持って行かれちゃうわけでもない

そもそもGoogleを使っている人がYSTとGoogleの検索精度の違いを
明確に理解していないと思うし、
なんとなく「Googleの方が検索精度高いでしょ!」
という通説(ブランド)だけを信じて、ちょっとカッコつけてるだけの人もいると思う

そう言う人にとってはGoogleを使う理由がなくなる

だからこそGoogleの持つ4割の検索シェア(さらに伸ばしている)から
ユーザーをYahoo! JAPANに連れてこられる可能性だって広がる
連れてこられれば、Yahoo! JAPANのサービスにユーザーを流しやすくなる
(Googleの検索エンジンだがYahoo! JAPANのサービスへの誘導リンクが出せる)
Yahoo! JAPANは検索以外のサービスでさらに儲けが出るようになる

これだけだと一方的にYahoo! JAPANに有利に見えるが
検索エンジンの能力の向上を図って
世界市場でのBing(&百度)との検索シェアの戦いを有利にしたいGoogleにとっても
それなりにお得な提携になっている

6割を占めるYahoo! JAPANユーザーの検索クエリを入手し、
さらにYahoo! JAPANのサービスの最新データがフィードされる契約は
Googleの検索能力のさらなる向上をもたらす事が予想され
検索市場におけるGoogleのプレゼンスをさらに高めることになるであろう


やっぱりこの提携はYahoo! JAPAN、Google双方にWin-Winになっている

プラットフォームとしてのビジネスモデルが全く違うんだから
検索大手同士が提携したからといって、
検索シェアの独占だけを気にする報道が多いのもなんだか筋違いな気がする
本質をもう少し探ってみないと論点がずれておかしな事になってしまう


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