004 the mysteriousartandscienceofknowledge-workerperformance_ver1.0
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今回のテーマは
ナレッジワークに対してどう科学的にアプローチするか
という内容
ドラッカーが
ナレッジワークやナレッジワーカーにもっと注意を払うべきだと
主張したのが1959年
しかしマニュアルワークでテイラーやフォードが行ったような
科学的アプローチをナレッジワークに対して行った人間がほとんど見られない
というのが出発点
ナレッジワークが注目される理由は3つ
1.ナレッジワークがイノベーションの核である
2. 組織の成功には優秀なナレッジワーカーの採用と維持が欠かせない
3. ナレッジワーカーのパフォーマンスに焦点をあてる事で
分断されがちな戦略プランニング、組織デザイン、IT投資
といったタスクの統合につながる
ナレッジワーカーのパフォーマンスの問題点は3つ
1. ナレッジワーカー一人が重要になりすぎる
(原子爆弾ももともとは一人の頭の中で発明される)
2. 重要な問題というのはいつも扱いにくいものである
3. 本当に重要な問題を解決するためには革新的な
新しいコンセプトやツールの創造が必要になる
こういった背景からこの論文が書かれている
さて内容は大きく分けて二つ、
1.ナレッジワークに関する5つのキーイシュー
2.ナレッジワーカーのパフォーマンスを改善するために考慮すべきフレームワーク
ここで5つのキーイシューとは、
1.ナレッジワーカーのパフォーマンスを決定する要素はわかってきている
あとはこれをどのように統合していくか
ナレッジワーカーのパフォーマンスを決定する要素として
Management,IT,Workplace designがパフォーマンスに影響することはわかっている
しかしこれらを統合的に扱っている企業はほとんどない
この3つの要素の間にある空間を埋めるモデルが必要である
2.多くの組織はナレッジワーカーをセグメントする事の必要性を認めない
一つの主要な障害は"ナレッジワーカー"という言葉の一般的な使用法である
大きな疑問、
営業やマーケティング部のために働くというだけで
ハードウェアエンジニアリング組織全体に対して同じソリューションを適用できるか?
同じナレッジワーカーというだけで
カスタマーサポートで学習されたナレッジをチップデザインの組織に移転できるか?
どちらもできないのは明らかである
しかしマネージャーはナレッジワーカーをセグメントすることに抵抗を示す
その理由は
組織のエリート主義的なパースペクションにつながる
暗黙的な実力主義に感じてしまう
という事
こういった理由がある事は理解しつつも
著者らはセグメンテーションを推奨している
(後半のフレームワークに関連してくる)
3.誰もナレッジワーカーのパフォーマンスに責任を負ってると思っていない
マネージャーに
どの組織がナレッジワーカーのパフォーマンス向上に貢献しているか?
と尋ねると多くが手を挙げる
続いて
ナレッジワーカーのパフォーマンスの責任を持つのは誰ですか
と尋ねると手を上げ続ける人はほとんどいない
マネージャーがナレッジワーカーのパフォーマンスの責任を持つのは明らかである
しかし彼らは多くの場合、今期待されているパフォーマンスに焦点を当てる必要があり
ナレッジワーカーのパフォーマンス向上に割く時間を見つけることができない
4.企業は職場環境のリ・デザインを繰り返すが何も学んでいない
多くの企業は職場環境の変更をいろいろ試すが
仮説や、記録もないままで何も学習していない
新たな職場環境を決める際の決定因子が
FAD,Fashion,Faith,Financeになってしまっている
企業はインフォーマルなコミュニケーションを活発化するために
ヒーターのある部屋を作ったり、カプチーノバーを作ったり、色々する
しかし特定のデザインがインフォーマルな会議を活性化した証拠はほとんどない
多くの場合、"ソーシャルスペースは空っぽ"である
また、オープンな職場環境という案も、オープンにすればいいってものでもない
オープンにしたことで、集中したい仕事は家でこなす社員がいたり
機密度の高い案件を扱う職員は、
オープンにすれば大幅に自分のパフォーマンスが落ちると懸念している
ITサポートについてみると
パーソナルデバイスはメジャーになりつつあるが
結局、社内の基幹システムとはうまく統合されない
なぜなら、管理、維持していくコストが高くつくからである
著者らの調査した中で一番ITをうまく提供していた企業の手法は
特定の仕事の役割やタスクが最もうまくサポートされる
テクノロジーをどのように選択し、使用するか
というトレーニングやコーチングをしていた企業である
5.ナレッジワークの合理化には抵抗が多い、ハイエンドの場合は特に
ナレッジワークは合理化が進んでおらず
ナレッジワーカーというのは合理化に抵抗者の一つである
ナレッジワークの合理化に向けての二つの視点
1.エンジニアリング原則が適用できるという仮説に基づくProcess視点での合理化
1980年代から1990年代ごろまでは
構造化しやすく、リニアにとらえやすく、繰り返しの多いタスクが対象であった
現在はまだ構造化されていない繰り返しの多いタスクが対象になってきている
2.物事を行うための暗黙的なコーディネーションを強調するPractice視点での合理化
多くの企業においてよく行われるのが
賢い人間を雇って、好きにやらせる
という方法
著者らはこれらの5つのイシューを提議した上で、
ナレッジワークの生産性向上に向けて二つの検討項目を提示
1.ナレッジワーカーというのを一区切りにして同じものとして扱うのは間違っている
=セグメンテーションの必要性
2.ナレッジワーカーが幸せに働けるように、彼らに
どのように、どこで働くかをいくつかの度合いに分けて選択させる必要がある
ここまでが5つのイシューのまとめと、それに対する著者らの解決策の主張
この後、具体的な解決策としてフレームワークが出てくるのだが、
セグメンテーションとナレッジワーカーが選択できる範囲の掛け合わせの
マトリクスの中で、
コスト(金銭的、時間的)、ナレッジワーカーの満足度、マネジメントのしやすさ
を考慮してマネジメントシステム、IT、ワークプレイスデザインに
適切な投資をしましょうという内容
詳しくは論文自体を読めばそんなに難しくないのでそちらに譲る
このアーティクルのつぼは、
5つのイシューをわかりやすくまとめた事と、
セグメンテーション×選択範囲というマトリクスを利用して
マネジメント、IT、ワークプレイスデザインへの投資も科学的に判断しましょう
と問題定義できたことだと思われる
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