一部の人材業界で以下の記事のように
日本もソーシャル・ネットワークでの採用活動が進むのでは!?
という話が出ているが、そう判断するのは早計だと思う
・ジョブボードからの脱依存、ソーシャルウェブへの移行が進む米国採用事情
・求人広告はやめとこう ソーシャル・ネットワークで一本釣りだ! - Market Hack
年初から米国発のSNSであるFacebookが話題をさらい
誰もがLinkedInに登録を始めているのだから
こういった意見がでるのはわからなくはない
ただ、この記事のソース元が米国だということを軽視しすぎている
まずは米国と日本の間の文化の違いを
ちゃんと認識するところから始めたほうがいい
異文化マネジメントの観点で言えば
最も大きな問題は「Role clarity:役割の明確度」である
アメリカでは仕事、業務内容が詳細にかつ明確に定義され
それに伴い必要なスキル、人材要件が明確に決まる
つまり人事担当者は"明確に定義されたスキルとそれを持つ人材"を探せばいい
これは詳細な経験職務と経験年数がわかれば、ある程度FIT感がわかる、
という事を意味する
だからこそ、Job Boardで大量の応募者の履歴書を見て面接するよりも
SNSで職務経歴、経験年数でターゲティングしてアプローチしたほうが安上がりになる
一方で日本は、というと
業務内容はあいまいで定義されておらず、
2年、3年ごとに職務がかわるローテーション人事という制度において、
全員をCEO化するかのようにゼネラリストを育てる
みなさんも、
・自分の役割を明確に、かつ詳細に定義できるか
・やっと業務を覚えたと思ったとたんに異動を命じられるといった経験をしていないか
考えてみるといい
日本におけるこのような人事慣習においては
DB化できるスペシャルな技術で人材をターゲティングして個別にアプローチするよりも、
広範囲のなんとなく業務をこなせそうな人材全体にアプローチして
多くの選択肢から選ばないと誰が本当にFITするのか判断ができない
二つ目の大きな問題は
「Task vs. Relationship orientation:任務遂行重視 vs 人間関係重視」
の部分である
米国は結果によって評価され、成績達成が大切にされる
また、ビジネス上の決断と個人の感情を分けるべきだと思われており
個人的に相手のことが好きだろうが好きじゃなかろうが仕事ができる
要は個人主義と言った方がわかりやすいかもしれない
だからこそ必要なスキルを備え、人材要件を満たしていれば十分で
職場での人付き合い、人間関係と言った部分はそれほど重要じゃない
しかし日本では人間関係が重視され
"What you know" よりも "Who you know"
によって仕事のパフォーマンスが変わる
だからこそ対面での対人コミュニケーション能力の確認が必須で
DB化できるようなスキルを前提とした採用フローが組みにくい
このような文化的な違いがあるからこそ
日本でSNSを中心とした採用活動が進むまでには時間がかかると思っている
誤解をしないでほしいのだが、
SNSを中心とした採用活動がまったく進まないとは思っていない
一部のトップ層を中心とした、
"スキルである程度判断がつく層" においては間違いなく進むだろうし
旧態依然とした人事制度に引っ張られないベンチャーのような企業では
必要なスキルを持った人材を効率的に吸い上げる仕組みとして利用されるだろう
また、今後日本の人事制度においても業務内容に対して明確な定義がされ
給与体系もそれに基づいた合理的なものに変化していけば
SNSを利用した採用も増えていくだろう
ただ、今すぐにSNSですべての採用活動が行われるようになる
という事はないんじゃないだろうかと思うのである
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